どーも!省吾です!(^^)!
SHARPのCDラジカセ【QT-C500】のメンテナンス記事です。
1995年製。こちらは以前紹介したQT-C600という機種からCD-G(CD+GRAPHICS)ディスクの再生機能を省いたモデルになります。
症状
・CDの音飛び
・テープの再生が不安定
・汚れがひどい
CDの音飛びはこの製品特有のピックアップのオピニオンギア破損、テープはベルトの劣化とピンチローラーの劣化が原因と考えられます。
ディスプレイ表示が薄く、なんだか暗い気がしますが年式と保存状態を考えると仕方ありません。とりあえず内部のクリーニングも同時に行います。
外観・機能紹介
全体的に丸みのあるデザインが採用されています。当然ですがQT-C600と違ってCDトレイに『GRAPHICS』の表記はありません。
こちらもAMステレオ対応機種です。ラジオのチューニングが昔ながらの方式なので初心者にもやさしい安心設計です。
チューニングダイヤルは右横に付いています。
マイク端子。こちらのモデルは1つ。エコーの機能も省略されています。
カラオケスイッチは健在。こちらを押すと通常ステレオ音声で中央に定位する音(ボーカルなど)が相殺される仕組みで、イヤホン端子にプラグを中途半端に刺したときの音がします。なのでボーカルがそもそも中央に定位していない音源や、カセットテープなどの定位が不安定な音源の場合はボーカルが消えてくれないことがあります。
CDの再生方法は通常の『演奏』と『一曲演奏』があります。
『一曲演奏』は曲が終わるたびに一時停止状態になるのでカラオケや1曲のみテープに録音する際に便利です。
再生ボタンは2度押しで一時停止ではなく、リピートモード。
・『演奏』のリピートは全曲リピート
・『一曲演奏』のリピートは一曲リピート
という風にリピートモードも分けてあります。
でも、『再生』ではなく『演奏』っていうところがなんだかエモいですね。
そしてQT-C600では『音多切替』スイッチだったところが代わりに『ランダム演奏』になっています。
ちなみにQT-C600の音多切替とは、L・Rの音声を単独で出力できる機能で、押すごとにLchのみの音声、Rchのみの音声と切り替えができます。多分ですが、CDグラフィックスディスクの音多切替に対応したものだと思います。
QT-C600であった音声出力と映像出力が省かれました。そしてビートキャンセルとトーン(LOW・HIGH)切替兼用スイッチは共通。
でも音声出力は残してほしかった。
乾電池駆動に対応していない代わりに専用のケーブルを使って車のシガーソケット(12V)から電源をとることができます。
分解
毎度おなじみの長いドライバー必須です。
左右のスピーカーはボックス状になっておらず、所謂フリーな状態です。しかしCDメカ部分は部屋になっています。
内部がかなり汚いのでクリーニングしながら作業を進めます。
CD部
CDメカが外せました。ケーブル類も弱っている可能性があるので慎重に…
光ピックアップはSHARPのH8134AF
2021年5月現在でも互換品が手に入ります。価格は8千円以上しますが…。
やはりピックアップを移動させるオピニオンギアが破損していました。これによって隣のギアとかみ合わず躓いて音飛びします。
接着剤で補修を試みましたが「うまくきまらなかった」ので代替え部品を取り寄せました。
これです。金属製の頼れそうなヤツ。
元々付いていたものより背が低いですが、隣のギアとかみ合うところに調整すればOKです。
ちなみにギアの規格はモジュール0.3、11T(歯数)、2㎜軸穴のオピニオンギアです。なかなかヒットしなくて探すのに苦労しました。。
しっかりかみ合いました。これで大丈夫です。
トレイが出てすぐに閉じることがたまにあるので、トレイの開閉を検知する接点もクリーニングしておきました。
ゴムベルトはまだまだ大丈夫そうなので今回は交換を見送ります。
カセットデッキ部
カセットのメカに辿り着くためにはメイン基板を外さなければいけません。
ものすごく埃が溜まっているので掃除しながら…。
メカは上部にくっ付いています。
左の基盤を外せばもう片方のデッキにアクセスできます。
1モーターで2つのデッキを動かします。ベルトは両デッキのリール用だけ交換しました。キャプスタン用はまだ大丈夫そうです。
両デッキのピンチローラーを交換します。ピンチローラーは爪で固定されているだけなので簡単に外せます。
つるつるテカテカになっていました。これではテープをうまく引っ張れません。
同サイズの新しいローラーに交換です。
スピーカー部
8cm、6Ω、MAX6Wのスピーカーが使われています。
【THE・紙】という感じでけっこうヤワめのコーン紙ですが、エッジはしっかりしています。
低域の多い曲を鳴らすとよく振動します。
まとめ
この個体は内部がかなり汚れていて掃除に苦労しました。
スピーカーからの音は近年のレンジの広いオーディオ機器と比べると中音域重視のまさにラジカセの音です。スピーカーはよく振動しますが、エネルギー感はあまりありません。
音色に関してはスピーカーだけの問題ではなく、内部の構造による部分も大きいと感じます。この機種はスピーカーが独立した部屋に入っているわけではありません。なので低域も圧を感じないヌケの悪いポコポコとした感じに聞こえてしまします。
ヘッドホンで聴くとそこそこいい感じに鳴ってくれますが、なんだか低域がブーストされた音でフラット寄りではありません。しかし低域のブースト回路(例・バスブースト)のON・OFFを切り替えたりもできないのでデフォルトでON状態です。
心地よく鳴ってると思えば…OK(*´з`)
低域が出すぎるイヤホンやヘッドホンは逆にキビシイかも。今回の試聴はSONYのモニターヘッドホン【MDR-CD900ST】を使用しました。
そのヘッドホン出力もCDを再生させたとき、ディスクを回転させる『キュイーン』音とピックアップを動かす『シュルシュル』音が盛大に聞こえます(笑)。安定して音楽が流れればおさまりますが、いかにCD部がノイズをまき散らしているかがよくわかります。
あぁ~、次はパナのぽんぽこタヌキが欲しいよ~(*´з`)
でわでわ(^^)/